「チレボン銀河鉄道」のバティック、制作中!

「チレボン銀河鉄道」のバティック、制作中!

 「チレボン銀河鉄道」は、賀集由美子さんの作ったバティックから着想を得た物語だ。チレボン駅のホームにたたずむペン子ちゃんとジャワねこ先生。そこへ、屋根の上にもペンギンを山盛りにしてホームに入って来る列車。銀河鉄道の線路脇に咲く花は、竹田有希さんのバティック「ランの花」から。

 その竹田有希さんから「華子さんの物語のバティックを作りたいとずっと思っているんです」と言われた。「物語からのイメージをバティックにしたいと思って。華子さんがバティックから物語を作られたので、それをまたバティックにしようかと」。

 2022年10月に「デザインから作るからまだまだ先の話です。忘れたころにお見せするくらい時間がかかると思うけど、作ってみます」と言われ、そして11月。「こんな感じで作っています」と写真を送ってくれた。

竹田有希さんの制作中のバティック「チレボン銀河鉄道」
制作途中のバティック(竹田有希さん撮影)

 一番下にはチレボンの街。緑の木々の中に赤い屋根がぎっしり並ぶ街並みだ。ヤシの木、モスクの丸屋根。天気が良いと、街から美しい稜線の望めるチルマイ山も右奥に見える。街の一番目立つ所には、オランダ時代の建築が特徴的な、チレボン駅の駅舎。

 そのチレボン駅から、線路が空へと伸びて行く。空を厚く覆っているのは、チレボン・バティックを代表する伝統文様である「メガムンドゥン」の形をした雨雲だ。雲の中にはまるで天使のように、アンクロンなどインドネシアの楽器を演奏するペン子の姿が見える。

 線路は雨雲を抜けて、さらに上へと続く。メガムンドゥンを越えると、がらっと世界が変わる。線路脇にいっぱいに咲き乱れるランの花。画面の中央辺りに、列車が走っている。賀集さんのバティックで描かれていたのと同じ列車だ。屋根の上には、ギターを持ったペンギンを先頭に、その後ろにもずらっと無賃乗車のペンギンたちを乗せている。なんと賑やかで、楽しそうな銀河鉄道であることか。

 そして、線路の脇に見えるのは、いろんなバティックのモチーフだ。インドラマユのバティック模様のカニ、「ロクチャン」と呼ばれる鳳凰、翼、龍(?)、ほかにもいろんな不思議な動物たち。バティックには「不思議な動物」柄が多く、賀集さんは「変な動物」と呼んでいた。空の星座にもペガサス、ケンタウロスなど、いろんな不思議な生き物たちがいる。バティックに出て来る生き物たちで、そっくり星座が入れ替わっても、何の違和感もない。

 線路は細く、細くなり、蛇行しながら、ずっと上方まで続いている。線路はどこへ向かっているのだろうか。

 まだ蝋描きがされていない上方には、サッカーボールを蹴るペン子ちゃん、お遍路姿のペン子ちゃんなど、いろんなペン子ちゃんの姿が。

 「チレボン駅、街、バティックも、『全然違うよ』とダメ出しされてもいいから、賀集さんに見てほしかったです」と有希さん。いや、私の耳には、はっきりと「有希さん、すごいーーー!」と言う賀集さんの声が聞こえてきましたよ。

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