フレディ

[100枚のバティック](29)針で穴を開ける[チョンプロガン]

 「バシバシバシバシ……」、工房の隅でリズミカルな音が響いている。全面に茶色の蝋がべったり付いた、ずっしり重い布に、針で穴を開けているのだ。本当に、実際に、布に穴を開けている。布を透かして見ると、小さいとは言えぽっかりと穴が開き、向こう側が […]

[100枚のバティック](14)格好いい箱卍[チレボンの伝統模様]

 「ものすごく格好いいバティックだな」という第一印象だった。きりっとした紺白で「卍」がはっきりと浮き立ち、その周りには黒茶紺の複雑な模様が沈んでいる。  これは「箱卍(Banji Tepak)」という名のチレボン伝統文様。「Banji」は「 […]

[フレディ物語](5)賀集さんとフレディ

 フレディがうちに来て2カ月ほど経ったころ、賀集由美子さんがチレボンから来訪した。正確に言うと、私がチレボンへ行って一泊し、二人で一緒に戻って来たのだ。フレディは興奮して、激しい勢いで駆け回る。危ないぐらいのハイテンションで、手を付けられな […]

[バティックを使う]服に仕立てる(1)ベティーさんオーダー会

 バティックの布を買った場合、「服に仕立てる」という人が一番多いだろう。バティックとは元々、身に着けるものだ。しかし、一枚の布を腰に巻くのが伝統的なスタイル。柄や配置はそれに合わせてあるので、普通のテキスタイルとは違う。布のどこをどう使うか […]

[100枚のバティック](13)アアットさんのカーテン

 インドラマユのバティック職人、アアットさんの家を初めて訪ねた時のこと。窓に掛かっている手作りのカーテンに目を奪われた。大小の魚やタツノオトシゴ、クラゲが楽しそうに海の中を泳いでいる。間にはサンゴ、波模様、ヒトデ? どの魚も表情豊かで生き生 […]

[100枚のバティック](12)怖い? かわいい? [インドラマユの伝統模様]

 インドラマユを代表するモチーフというと「イワック・エトン」(Iwak Etong)。「これがかわいいと思えるようになったらバティック上級者」と冗談を言っていた人もいるぐらいで。  一番最初に目に付くのは伊勢エビのような大エビ。これがとても […]

[100枚のバティック](10)ビスケットの饗宴 [インドラマユの伝統模様]

 ピザの一片のような形をした茶色や黒色の三角形が、布全体を埋め尽くしている。うまく、たくさん、はまるように、三角形は大きかったり小さかったり、細かったり、中には四角だったり丸っこかったり。不揃いな形で、ぎっしりと配置されている。  「このモ […]

[100枚のバティック](9)マンゴー・レイン [インドラマユのチャップ]

 インドラマユはマンゴーの街。インドラマユ市内には、ジャカルタの「歓迎の塔」のような場所に「マンゴー・モニュメント」が立っている。  ジャワ島のほかの平地とそんなに気候は変わらなく感じるのに、なぜだろうか、マンゴーがよく採れる。ジャカルタか […]

[100枚のバティック](7)世界にたった一つの生命樹 [バティック絵画]

 出会ってしまった、不思議なバティック。バティックはどれも一期一会なのだが、これはその中でも群を抜く「一期一会」だ。  チレボンのカトゥラ工房には、戸棚で三方を囲まれた小さな部屋がある。戸棚に詰まったバティックを取り出しては、広げる。どんど […]