物語のバティック 有希さんの「チレボン銀河鉄道」

物語のバティック 有希さんの「チレボン銀河鉄道」

竹田有希さんの「チレボン銀河鉄道」バティックが出来ました。「チレボン銀河鉄道」とは、賀集由美子さんと夫のコマールさんがチレボン駅から旅立つ物語です。「こうだったらいいな」という願望を込めて、賀集さんを送るつもりで書きました。その物語のイメージを竹田有希さんがバティックに。自ら蝋描きして染色しました。

竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
家の屋根瓦の模様が細かく、木々の模様も楽しい。白い駅舎のチレボン駅の右手から、一本の線路が空に向かっている
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
チレボンの街から望めるチルマイ山がそびえ、その下には水を張った田んぼが輝く
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
チレボンの空を覆うメガムンドゥン(チレボン・バティックを代表する雨雲柄の文様)を抜けると、違う世界が開ける。雲の上ではペン子の楽隊がインドネシアの楽器を奏で、線路脇には無数のランの花
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
線路脇に次々に現れるバティック文様の不思議な生き物たちが、空の星座のようだ。大小さまざまな星が輝く空を、サッカーファンのペン子たちが屋根に乗った賑やかな列車が行く
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
線路は曲がりくねり、細くなり、消えていく。空の一番高い所には、サッカーボールを蹴るペン子、お遍路ペン子、ジャワねこ先生と一緒で楽しそうなペン子。バティック文様と共に、ペン子が星になったよう。月の中にはウサギの着ぐるみペン子が見える
竹田有希さん作「チレボン銀河鉄道」
星になったペン子

 「チレボン銀河鉄道」を竹田有希さんがバティックにしてくれ、その物語がはっきりと実像になった気がした。

 温かさと懐かしさに包まれた、チレボンの街。メガムンドゥン(雨雲)を区切りとして、その上に広がる別の世界。そこは天上の世界であり、バティックの世界であり。その「バティックの世界」の具象化が素晴らしい。改めて、バティックに出て来る不思議な生き物たちは「そのまま星座になってもおかしくないなぁ」と感じた。そして、そのバティック文様の中に「ペン子」も混じっているのがうれしい。夜空の星に、月の中にも、ペン子はいる。

 丁寧な点と線で布の両面を蝋描きし、夜空の星も色を変えて染め、メガムンドゥンは3層のグラデーション。ペン子の旅立ちの物語がこんなバティックになって、もうこれは賀集さん、ものすごくうれしいだろう、と思う。

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