[バティックを使う]服に仕立てる(1)ベティーさんオーダー会

[バティックを使う]服に仕立てる(1)ベティーさんオーダー会

 バティックの布を買った場合、「服に仕立てる」という人が一番多いだろう。バティックとは元々、身に着けるものだ。しかし、一枚の布を腰に巻くのが伝統的なスタイル。柄や配置はそれに合わせてあるので、普通のテキスタイルとは違う。布のどこをどう使うかなど、バティックに慣れた人でないと仕立ては難しい。バティックの仕立てを頼むのに、ジャカルタの日本人の間で信頼が篤いのはベティーさん

 ベティーさんは1982〜84年の2年半、夫の駐在で日本に在住していた。在住期間中、最初の半年間は日本語学校へ通って日本語を勉強し、残りの2年間は東京・目黒の洋裁学校「ドレメ」へ通って洋裁を勉強した。インドネシアに帰国してから、「日本語を忘れないように」「日本人の奥様とのおしゃべりが楽しい」という理由で日本人相手の仕立てを始めた、という、ちょっと変わった経歴。

 家に来てくれて、日本語でオーダーでき、仮縫いもしてくれる仕事の丁寧さ。ベティーさんによく仕立てを頼んでいる西川知子さんは「『見本があって、その通りに作る』とか、決まった物、簡単な物なら別の人でもいいけど、『絶対に失敗したくない』場合はベティーさん」と言う。仮縫いまでしてくれるのはベティーさんだけとか。

 そこで、西川さんと、もう一人の友達ダグソトさんと一緒に「ベティーさんへのオーダー会」を開くことにした。

 私が仕立てるバティックは2枚。2枚とも、チレボンのアリさんの工房「バティック・アリリ」で購入した品だ。

 1枚は、紫地にピンクの花柄。上下から草花の茎が伸び、風にそよぐかのように、しなやかに曲がっている。上下から伸びている、というのが珍しい。非常に繊細な絵と線だ。

アリリ工房の、紫とピンクの花柄バティック

 すっきりしたシンプルな柄なので、布として眺める分にはやや物足りなく感じるのだが、体に当ててみると、ものすごくすてきだった。私はバティックを買っても、布のまま置いておくことが多いのだが、これは珍しく「服にしよう」と思って購入した。

 もう一枚は、ジャカルタでのイベント「Farm Cafe」の時に、出展していたアリさんから購入した。こちらはより「バティック」らしい、普通の花柄で、線描きもそれほど細かくない。ただ、私の好きなカーキ色の地に、薄いピンク、そこにぱっと黄色が映える、という色合いが珍しかった。そしてこれもまた、体に当ててみると素晴らしかった。しばらく迷った末、「服に」と思って購入した。

カーキ地の花柄バティック

 ただ、2枚とも、何を作るかはノーアイデアだ。ベテランのベティーさんに相談することにした。

 やって来たベティーさんに、まずは紫の花のバティックを見せる。

ベ「これは、何のために?」
私「わからない……何がいいでしょう? スカートかなぁ。スカートは履かないんだけど」
西「絶対、着る物にした方がいいですよ。履かないのを作っても、しまっておくだけになる」
私「じゃあ、やっぱり、パンツかな」
ダ「私の持って来た見本みたいなのはどう? ワイドで、履くとちょっとスカートみたいに見えるよ」
私「じゃあ、それにする!」
ベ「全部ゴム? 前は芯にして、後ろだけゴム?」
私「どっちがいいかな?」
ダ「後ろだけゴムにした方が膨らまないよ」
私「じゃあ、そうする!」
ベ「後ろだけゴムね。横に、ファスナーを付けます」
私「これ(腰に巻くと前に来てアクセントになる、ピンク色の柱の部分)は使わない?」
ベ「使わない。もしお揃いのブラウスを作るんだったら、取っておいて、使うといいです」

このピンク色の部分は使わない
今回、このピンク色の部分は使わない。もし、パンツに合わせたトップスを作るならこれを使うといい、とのアドバイス

 次は、カーキ地の花柄。

ベ「この色、珍しいね。これは何のために?」
私「ワンピースかな。下にパンツを履くスタイルで」
ベ「チュニックか」
私「丈が長いとダメですか?(長いのが好き)」
ベ「ムスリムみたいに見える。腰が隠れるぐらいがちょうどいい」
私「そうかー」
ベ「まぁ、裾は長めにしておきます。仮縫いで、もし長すぎたら、短くする」
私「わかりました」
ベ「会社用? 遊び用?」
私「どう違うんですか?」
ベ「遊び用だったら、ちょっとひらひら、とか」
私「会社用で。ぴったりではなくて、ゆったりで」
ベ「首はV? 丸?」
私「Vで」
ベ「袖の長さは?」
私「長めで」
ベ「袖はキモノみたいに膨らませますか? 普通?」
私「普通で」

カーキ地の花柄バティック
フレディにもお似合いだが、こちらの布をチュニックに

 採寸して終了。

 ベティーさんの良いのは、こういう「ノーアイデア」状態でも形にしてくれること。しかし、さすがに「全部、お任せ」というわけにもいかない。アイデアやアドバイスはくれるが、ある程度の希望は自分で決めておかないといけない。西川さんとダグソトさんは自分の好みと希望を迷いなく伝えていたので、感心。さて、どんな服になるか。次は仮縫いです。(つづく

友達のオーダーしたバティック
ダグソトさんがオーダーしたバティック。アリさん工房の果物柄。パイナップル、ドリアン、マンゴー、カシューナッツなど、インドネシアで身近な果物がたくさん。下の花柄部分を生かしたパンツをオーダー
友達のオーダーしたバティック
西川さんオーダー、インドラマユのエディさんの工房「バティック・ビンタン・アルット」作の、斬新なチャップ・バティック。縦横両方のストライプの組み合わせ。間にインドラマユ名産のマンゴーと、船の舵。これは難しい。ベティーさんもしばらく悩んでいたが、ワンピースにすることに

私のオーダーしたバティック

「風に揺れる草花」(紫地)
バティック・アリリ作

2022年購入
180万ルピア

「黄色の花」(緑地)
バティック・アリリ作

2022年購入
85万ルピア

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