100枚のバティック

一枚の布にまつわるストーリー

【100枚のバティック】(17)ワワンさんのMy Favorite Things

 「チレボン・バティック・ツアー」の準備でアリリ工房へ行った時、「今回、バティックは買わない」と決めていたのだが、面白い布きれを見付けて即買い。「スレンダン」(肩掛け布)だと言うのだが、通常のスレンダンよりも小さく、日本の手ぬぐいぐらいの大 […]

【100枚のバティック】(15)インドネシア地図 ㊤

 「インドネシア地図模様のバティック」は、インドネシア関係者のお土産に最適だと思うのだが、例えばトコペディアを検索してみると、似たような品ばかりが出て来る。  長さは大体、1メートルぐらい。インドネシアの島の形だけが描かれ、書き込まれている […]

【100枚のバティック】(14)箱卍[チレボンの伝統模様]

 「ものすごく格好いいバティックだな」という第一印象だった。きりっとした紺白で「卍」がはっきりと浮き立ち、その周りには黒茶紺の複雑な模様が沈んでいる。  これは「箱卍(Banji Tepak)」という名のチレボン伝統文様。「Banji」は「 […]

【100枚のバティック】(13)海の生き物たち

 インドラマユのバティック職人、アアットさんの家を初めて訪ねた時のこと。窓に掛かっている手作りのカーテンに目を奪われた。大小の魚やタツノオトシゴ、クラゲが楽しそうに海の中を泳いでいる。間にはサンゴ、波模様、ヒトデ? どの魚も表情豊かで生き生 […]

【100枚のバティック】(12)大漁祈願 [インドラマユの伝統模様]

 インドラマユを代表するモチーフというと「イワック・エトン」(Iwak Etong)。「これがかわいいと思えるようになったらバティック上級者」と冗談を言っていた人もいるぐらいで。  一番最初に目に付くのは伊勢エビのような大エビ。これがとても […]

【100枚のバティック】(11)蝋のスタンプ [チャップ体験]

 インドラマユにあるエディさんの工房で、チャップ(型)押しの体験をした。初めてのチャップ体験は、賀集由美子さんと一緒に行ったプカロンガン旅行で。バティック・ミュージアムで花形のチャップを、皆で順番に1回だけ布に押した。インドラマユでは「やっ […]

【100枚のバティック】(10)ビスケットの饗宴 [インドラマユの伝統模様]

 ピザの一片のような形をした茶色や黒色の三角形が、布全体を埋め尽くしている。うまく、たくさん、はまるように、三角形は大きかったり小さかったり、細かったり、中には四角だったり丸っこかったり。不揃いな形で、ぎっしりと配置されている。  「このモ […]

【100枚のバティック】(9)マンゴー・レイン [インドラマユのチャップ]

 インドラマユはマンゴーの街。インドラマユ市内には、ジャカルタの「歓迎の塔」のような場所に「マンゴー・モニュメント」が立っている。  ジャワ島のほかの平地とそんなに気候は変わらなく感じるのに、なぜだろうか、マンゴーがよく採れる。ジャカルタか […]

【100枚のバティック】(8)なおさんのねこ

 「ねことバティック」なので、ねこ柄のバティックは最優先。しかし、「賀集さんのねこ」や「ワワンさんのねこ」で書いたように、ねこ柄のバティックは、実はあまりない。インドネシアではねこが非常に身近な存在なのだが、バティックでのねこの表現が、なか […]

【100枚のバティック】(7)変わった生命樹 [バティック絵画]

 出会ってしまった、不思議なバティック。バティックはどれも一期一会なのだが、これはその中でも群を抜く「一期一会」だ。  チレボンのカトゥラ工房には、戸棚で三方を囲まれた小さな部屋がある。戸棚に詰まったバティックを取り出しては、広げる。どんど […]

【100枚のバティック】(6)バナナの行列 [インドラマユの伝統模様]

 インドラマユはチレボンから約50キロの港町。ここのバティックが好きだ。手描きの精緻さと華やかな色合いはチレボン・バティックにかなわないけど、素朴さと独特の面白さがある。何より、値段が安くて気軽に使えるのが良い。ソファに掛けたり、テーブルク […]

【100枚のバティック】(5)ピンクの象 [染め変え]

 バティックでこんなこともできるんだ、ということをお見せするためにご紹介したいのが、こちらの象柄バティックの「お直し」だ。  2019年10月、「チレボン・バティックお買い物ツアー」で、ブディ・マシナ工房へ行った時のこと。象の模様のバティッ […]

【100枚のバティック】(4)チレボン駅 [複製]

 「チレボン銀河鉄道」のバティック豆本が出来上がるのとほぼ同じタイミングで完成した、このバティック。賀集由美子さんのブックカバーをアリリ工房に複製してもらった。  オリジナルのブックカバーは、サッカー選手や監督にインタビューした本「蹴る群れ […]

【100枚のバティック】(3)空の鳥かご

 リボンと花で美しく飾られた鳥かご。しかし、どの鳥かごも空っぽだ。開け放たれた戸口に留まった鳥が外に向かってさえずっていて、音符は花へと変わり、空中に舞う。リボンの上で羽根を休める鳥、翼を広げて飛ぶ鳥、どの鳥も楽しそうだ。花とリボンが画面い […]

【100枚のバティック】(2)ワワンさんのねこ [アレンジ]

 ねこ(フレディ)を飼い始めて間もないころ、チレボンの「アリリ工房」を訪ねた。賀集由美子さんとも親しくしていたアリさん、ワワンさん夫婦の工房だ。夫のワワンさんはねこが大好きで、工房には常に数匹のねこがいる。バティック職人さんたちが蝋描きして […]

【100枚のバティック】(1)賀集さんのねこ

 「100枚のバティック」、1枚目はこちら。賀集由美子さんが亡くなってから、出会った布。これまで見たことのなかったねこ柄に、「珍しい。ねこだ!」と思って購入した。  賀集さんのバティックに、ねこはあまり登場しない。自らの分身であるペンギンの […]

  • 2022.09.14

布は語る

 バティックは手作りということもあって、たとえ「これと同じ物を」と複製をオーダーしても、同じ物には絶対になりません。模様となる線描き(イセン)は職人さんの自由裁量によって決まりますし、色合いもその時々で変わってきます。なので、バティックは一 […]