[賀集さんのバティック入門講座](1)蝋を使った防染が「バティック」です

[賀集さんのバティック入門講座](1)蝋を使った防染が「バティック」です

賀集由美子さんのバティック入門講座、第1回は「バティックの定義」についてです。(写真と写真説明・池田華子)

 バティックとは何か。バティックとはどういうものか。

 チレボンのカトゥラさん(チレボン・バティックの巨匠)に教えてもらった定義なんですが、バティックとは「蝋を使った防染技法により布を染める技術」である。蝋を使わない物はバティックとは呼びません。ここの部分はいろいろごちゃごちゃしているので、おいおい説明したいと思います。

 防染なんですけど、日本でも、蝋纈(ろうけち=ろうけつ染め)とか纐纈(こうけち=絞り染め)とかありますね。

 防染技法としては、まずは。蝋防染ですよね。あと、。型染めとか友禅とか。糊で防染する。絞りは、糸で縛って染める。インドネシアのイカットとか、日本での絞り染めとか。インドネシアではジュンプタン(jemputan)とかプランギ(pelangi)とか言って、スマトラ島パレンバンなど、いろんな地域でやってます。この3つが「防染」である、と。

 バティックの場合は、蝋(malamまたはlilinと言う)を使います。「チャンティン」(canting)っていう道具か、「チャップ」(cap)っていう「型」みたいな物、両方とも銅で出来てますけど、それを使って(防染して)染めます。

 とにかく、この「防染」というのがバティックの一番大事なことで、要するに、「染まらないように何物かで伏せる」っていうことですね。バティックの場合は、蝋で伏せる

蝋で伏せた布。茶色い部分が蝋で、染料が入らない。蝋で伏せていない部分だけ染まる
蝋で伏せた布。茶色い部分が蝋で、染料が入らない。蝋で伏せていない部分だけが染まる。この布の場合は、蝋で伏せた背景が白。動物や鳥、ザクロの模様などが青に染まっている

 そして、バティックの場合は、すごくこう、なんだろうな、「バティック」っていう言葉の意味が広い。例えば、最近新しく言われ始めたのが、「バティックを着よう」っていうことで、「batik」をber動詞にして、「Ayo, ber-batik!」とか。インドネシア人の若い子たちが、「さあ、バティックを着ましょう」みたいな言い方ですね。これだと、「バティックを使う、バティックをまとう」という意味になる。こういう、昔は聞かれなかった言葉も出て来ています。

 さて、ここまでが、バティックの定義です。つまり、バティックの定義とは「蝋による防染で染められた物」手描きバティック、型押しバティック、手描きと型押しのコンビネーションは「バティック」の範疇に入ります。(つづく→【賀集さんのバティック入門講座】(2)

チャンティンを使った蝋描き(チレボンのカトゥラ工房)
チャンティンを使った蝋描き。これは「手描き」のみのバティック(チレボンのカトゥラ工房)
チャップいろいろ(インドラマユのエディさんの工房)
チャップいろいろ。これを蝋に浸けて布に押した物が「型押しバティック」。型押しをした上で、色分けなどのために手で蝋描きを加えた物が「コンビネーション」になる(インドラマユのエディさんの工房)

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