言葉を超えてあふれんばかりに心に流れ込む 「Flow」[ねこの映画]

言葉を超えてあふれんばかりに心に流れ込む 「Flow」[ねこの映画]
「Flow」(TIX.ID)
「Flow」(TIX.IDより)

 賀集由美子さんがうちに泊まった時、賀集さんの体を伝って台所へ行ったフレディを見て、「ねこの動線では、この部屋、どういう風に見えているんだろうね」と言ったのが忘れられない([フレディ物語](5)賀集さんとフレディ)。映画「Flow」を見て、そのことを思い出した。

 自分がまるでねこになったように、ねこの視点を体験できる。人間よりずっと低い視線。全力で走った時のスピード。吠えまくる犬が追いかけて来た時の恐怖。大きな鳥は天を突くようだ。

 出て来る動物たちは皆、魅力的なのだが、主人公は「ねこ」以外に考えられない。ねこは小さくて力も強くないが、賢く、用心深く、敏捷で、身体能力が高く、表情豊か。そしてひいき目ながら、かわいい。

 人間がいっさい出て来ない(もう滅びているようだ)、そして人間の言葉はまったく使われない所が小気味良い。ここで万一、動物同士が人間の言葉で会話し始めたら、一気に子供のアニメに落ちるし、ディズニーの「ライオン・キング実写版」「ナルニア映画化」などの失敗が思い出される。動物がCGでしゃべる、あれは気持ち悪かった。

 言葉なしでも動物たちが何を言っているのかわかるのは、「不思議に」なのか「当然ながら」と言うべきか。「こっち、こっち!」「ごめん……」「もう!」など、テレパシーぐらいにはっきりわかるのだ。そして、とても言葉にはならない感情もあり、動物たちの声が言葉の限界を超えて来る。ねこの感情が自分の感情と同化して、涙が出て来る場面も。

 違う種族同士、最初は、わかり合えない。しかし、だんだん絆が生まれる。ヘビクイワシ、犬(ラブラドール・レトリバー?)、ワオキツネザルには、同じ種族の仲間がいたが、その仲間たちを離れて、別の種族の動物たちと仲間になる。ヘビクイワシは命を賭して。ワオキツネザルはあれだけ大事にしていた鏡を捨てて。

 「黒ねこの大冒険の物語」として見ても楽しいのだが、伝わって来るものがそれ以上。言葉とは何か、種族とは何か、人間の存在と非存在、自然、気候変動、生死。それらが、あふれんばかりに心に流れ込んで来る。

ねこ度(5が最高)
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ねこ好きへのお薦め(同)
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ねこコメント
自分がねこになった気になれます。終始ハラハラドキドキではありますが、ねこは無事なので安心して見てください。

Flow
CGVで上映。2万5000ルピア。

https://www.tix.id/movie/flow

映画を一緒に見た人のねこ。体重8.5キロ。「水に落ちたらそのまま沈む」と言っていた
映画を一緒に見た人の黒ねこ。体重8.5キロ。「水に落ちたらそのまま沈む」と言っていた

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