[賀集さんのバティック入門講座](9)バティックいろいろ見せます!

[賀集さんのバティック入門講座](9)バティックいろいろ見せます!

ここからは、写真や現物のバティックを見せながらの説明になりました。(セミナー写真・竹下香奈恵さん、セミナー以外の写真と写真説明・池田華子)

 産地はさっき説明しましたけれども、ちょっとね、面白いのを。これ、イナクラフトで(見付けました)。ジャカルタ柄。バジャイとか。あと何だろうね、これは。いろいろ面白かったんで。きれいです。(ここに)モナス。

 ただ、ジャカルタで作ったかどうか、っていうのは、ちょっとわかんないですけど、(ジャカルタで)デザインして、どっかで(制作した)? でも、面白いんですよ。ほら、下にビルが。日本語のできるすごいセンスのいいお姉ちゃんがいてね。

イナクラフトで見付けたジャカルタ柄のバティック。バジャイなどジャカルタの風物が描かれ、下にはジャカルタのビル群
賀集さんと一緒に行ったイナクラフトで見付けたジャカルタ柄のバティック。バジャイなどジャカルタの風物が描かれ、下にはジャカルタのビル群が(池田華子撮影)

 これがインドラマユですね。生命樹。「Kayu Gorda」。すごい面白い模様でしょう。で、魚みたいなのがいるんですよ。海の魚。

インドラマユの生命樹「Kayu Gorda」。アアットさん作
インドラマユの生命樹「Kayu Gorda」。アアットさん作

 色をちょっと説明すると、最初に、濃紺。この茶色が二度目ですね。二回染め。ここ(茶色以外の部分)を全部伏せて、ブロックして。この最後の部分(茶色)だけ開けて染めてるっていう。チレボンではソガン(sogan)っていう名前のプロセスなんですけど。すごくいい柄ですよね。

 これは、私とインドラマユの職人さんが一緒に作った海柄。一応、ペンギンもここにいます。

病院のテレビに掛けたバティック
インドラマユのバティック職人アアットさんと賀集さんの共作。ペンギンとペン子ちゃんが楽しそうに一緒に泳いでいる(池田華子撮影)

(かわいい)

 これはチレボンの王宮模様。カトゥラ、っていう私の師匠のバティックですね。王宮模様の特徴っていうのは、こういうクリームのベースの上に、黄土色と茶色みたいな(色合いです)。

カトゥラさんの王宮柄バティック(古賀京子さん所蔵、古賀さん撮影)
カトゥラさんの王宮柄バティック(古賀京子さん所蔵、古賀さん撮影)

 これがチレボンの王宮柄。ただ、チレボンの王宮の場合は、ジョグジャ・ソロみたいに「禁制紋」っていうのはなくって、みんなどうぞ自由にお使いください、みたいな、そういう、アッパーな感じですね。

 これもカトゥラさんですね。私の師匠が作った、ガングン(Ganggeng)っていう、海草模様。

カトゥラさんの海草文様バティック

 海草は、(バティック産地の)「北岸」でさっき説明しましたけど、プカロンガンもあり、タシックもあり、マドゥラもあり、みたいな。

 これですね、このギザギザ(が、海草)。この中に、いろんな模様が入っているっていう。これ、ちょっと、うちの師匠に、無理矢理、ペンギンを。

(笑)

 ここ、この部分(ペンギン)だけ、私が描いて、渡して、入れてもらった、っていう……ほんと、失礼ですよね、すごい、人間国宝みたいな人なんですけど。やりたい放題。

(笑)

 まぁでも、そういうのも可能なのが、バティック。例えば日本の友禅の作家さんの所へ行って「すいません、このペンギン入れてください」とか、無理だけど、それができる緩さがバティックの面白さ。言えば何でも描いてくれる。

(爆笑)

「ペン子ちゃんトリビュート展」の時に、カトゥラさんが再び制作してくれた、ペンギン入りバティック(プトリ・スシロ撮影)
このバティックは、2022年の「ペン子ちゃんトリビュート展」の時に、カトゥラさんが再び制作してくれた(プトリ・スシロ撮影)

 これが、そのカトゥラさんですね。

カトゥラさん

(へえー)

 数年前、体調壊されたんだけど、最近はすごいお元気で。カトゥラさんの描くメガムンドゥンは、ちょっと、やっぱり、普通のメガムンドゥンとは違います。

(へえー)

チャップいろいろ(インドラマユのエディさんの工房)
インドラマユのエディさんの工房にあるチャップ(池田華子撮影)

 これがさっき言った、蝋の型押しの型ですね。これはインドラマユの工房なんですけれども。

 型押しバティックもいろいろあって、多色の物とか。これは、ガルットって所で作られている。多分、一番よく出回っている単色の物。7万(ルピア)とかそのぐらいで、タナアバンとかその辺で、あるんじゃないかな。コンビネーションで、いろいろ合わせて作ったりとか。ただ、生地はね、すごい粗い生地で、2メートルぐらいの物です。

安価な型押しバティック

 これもまぁ、インドラマユの型押しなんですけど、型押しに見えないんですよ。まぁ、こういう色分けも可能です。

多色の型押しバティック

 それで、型押しの色分けなんですけど、ちょっといいですか、すみません。これ、風呂敷なんですが。これは単色に、ここの蝋をちょっと崩して、色を掛けたっていう物なんですけども。これはインドラマユで(型を)押してもらって、デザインは私。まぁ、こんな感じで。

賀集さんのデザインしたチャップで作った風呂敷
賀集さんのデザインしたチャップで制作した風呂敷(池田華子撮影)

 それを色分けすると、これですね。

(かわいいねー)

 これとこれ。池田さんが持ってるやつ(①)と私が持ってるやつ(②)。同じ色分けなんですけど、こっち(②)の方が高い。

チャップの風呂敷、その1
①の風呂敷
チャップの風呂敷、その2
②の風呂敷

 これ全部、ブロックするから。最初に水色を染めて、その後に、ここ(水色部分)をぜーんぶ伏せるんですよ。これ(①)は、パーツ的に(薄い色の部分のみ)、伏せてる。蝋もいっぱい使うし、作業的にも、ものすごい時間がかかるっていうのが、こっち(②の方)。

パギソレの風呂敷

 型押しもアプローチの仕方ってすごくいろいろあるんで……これなんかもそうですよね。これはパギソレなんですけど、ここ(右上の部分)なんかは楽なんですよ。ベースを薄くするよりは楽ですよね。ここ(薄い部分)をポイント的に伏せて。

 同じ柄でも全然、その作業の速さとか、この場合は蝋の量とかもね、いろいろ関係してくるんで、やっぱり値段も変わってきます。

 あと、これは昔、私が絵を描いたのをカトゥラさんが作ってくれたんですけど。

賀集さんの絵をカトゥラさんがバティックにした、貴重な作品
賀集さんの絵をカトゥラさんがバティックにしたという、貴重な作品

(すてきー)

 面白いですよね、あの人(カトゥラさん)。(つづく)

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