昔は、お母さんのそばで子供のころからチャンティンで遊んでいたバティック職人の子供が、中学を卒業してからバティック職人になりました。今は工場へ働きに行ったりして、職人のなり手が減っています。(スタジオ・パチェの写真・高地伸幸さん、セミナー写真・竹下香奈恵さん、写真説明・池田華子)
お配りした資料の最後のページ、見てください。「今昔物語」って、わけわかんないんですけど(笑)。
これは、うちの職人さんの、中卒で採れた最後の年代ですね。10年ぐらい前に中卒で採って、もう結婚する時期なんですね。で、そっから先、もう中卒がいないんですよ。採れないんです。もう職人にならないから。それで、今はもう、こういう状態ですね。
(笑)
こうなっちゃうと、多分、子供が小学校高学年ぐらいになって、旦那の稼ぎが悪ければ、(工房へ)帰って来る。
(あー)
やる気があって、ちょっと経済的に大変、とかだったら、「家で宿題やりたい」とか言ってくる子もいるけど、やっぱり、昔のクウォリティーは、ダメですね。うちでやっていたころのクウォリティーっていうのは、もう出せない。
もうなんかあきらめて、なんだろう、流されるまま状態なんですけど、うちなんかは。
戻って来る人もいます。だから、うちだけじゃないけど、うちは今はもう、おばちゃん工房ですよ。老眼鏡を用意して、「はい、度数いくつ?」、そういう感じでやってます。
(笑)
チレボンだけじゃなくて、インドラマユとかでも、若い子は、もう全然……。チャンティンで遊ばないんでね。昔、この子たち(スタジオ・パチェの職人さんたち)は、チャンティンで遊んでたんですよ、お母さんのそばで。
でも、下の世代っていうのはもう、携帯のゲームとか。チャンティンになじみがないから、職人になるっていう発想が、もうない。やっぱりね、どんどん難しくなる。
まぁ皆さん、機会があったら今のうちに(蝋描きなどのバティック制作風景を)見てた方が……。まぁ、層の下の方はすごい広いんで、日本の伝統工芸みたいに「すぐなくなる」とか、そういうことはないですけど。(つづく→【賀集さんのバティック入門講座】(9))