[賀集さんのバティック入門講座](5)色挿しと浸染

[賀集さんのバティック入門講座](5)色挿しと浸染

バティックの染め方は、布全体を染める「浸染」(celup)と筆で色を挿す「色挿し」(colet)の2つがあります。本格的なやり方は浸染ですが、時間短縮のために色挿しも使います。(セミナー写真・竹下香奈恵さん)

 配色についてなんですけども、バティックの場合は、染める際にどこを蝋で伏せて、どの部分を開けておくか、っていうことで決まるんですね。

賀集さんのバティックセミナー

 染め方が2つあって、まず最初に、全体を染める(やり方)。要するに、布全体を浴槽のような物で全体をこう(浸け)……「浸染する」(celup)って言うんですけど。あと、そのほかに、色分けする方法として……ちょっとこれ、LかRか、私もよくわかんないんです(編注:Lで正しいです)。

Coletan

 これは「挿(さ)し」ですね、筆での色挿し技法。(ホワイトボードに書こうとして)ああ、「挿し」って書けない。

色さし

 すみません。筆で色を挿していく、っていう技法ですね。この色挿しで作られたのが、これですね。

ジャワの農村風景のバティック

 これ、一見、赤・青なんで、プロセス2回かと思われるんですけれども、ここ、この青の部分が色挿し。で、この赤と、この黒い部分は伏せてる。まぁ、時間の短縮ですよね。これ、二度プロセスやると、すごく時間がかかるし大変なんで、ここを色挿して、ここを伏せて、っていう形です。これがまぁチョレタンって言う……チレボンではね。他の地域では何て言ってるか、私もよくわからないんだけど。

 ジャカルタでもわりに、この「色挿し」っていうのは、お教室とかで(やられています)。これ、ちょっとお借りしたんですけども。こういう形で。色を挿して、最終的には、全体をどーんと浸ける、みたいな感じ。

色挿しによるバティック
七夕飾りと天の川
色挿しによるバティック
インドネシアの果物

 色挿しのいい所は、すごくいろんな色がカラフルに染められる所。まぁ、絵の感覚ですよね。かわいいですよね。

 これが、チュルップ(celup)とチョレット(colet)です。チレボンでもチョレタンは、やるんですけど。例えば、こんなのもあります(編注:対応する写真がわかりませんでした)。これはもう本当に、蝋付けで染めるんだと、大変なことになります。プロセス2回じゃ済まない。3回、4回。結局、ピンクの上に赤は乗るけど、赤の上には青は乗らない。そういう場合は、本格的な浸染のバティックだと、いっぺん蝋を落として、また染めないといけないんで。

 バティックの場合、ちょっとこれ小さいんですけど、まず、こういう状態に布を持ってきて。白く空いてるでしょ、ここにまた蝋を置いて蝋で伏せて、で、別の色を乗せていく、っていう感じなんですね。だから、やっぱりすごく大変です。(つづく→【賀集さんのバティック入門講座】(6)

1回目のプロセスの終わったバティック。茶色と赤が入った
1回目のプロセスの終わったバティック。白く残っている部分を蝋で伏せてから染め、焦げ茶と赤を入れた段階(写真・池田華子)
2回目のプロセスが終わったバティック。黄、薄い緑、濃い緑の3色が入った
2回目のプロセスが終わったところ。上写真の白く空いている部分(象やウサギの体、花の内側など)に、緑、黄色が加えられている(写真・池田昌穂さん)

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