ジャカルタ在住の友人の竹田有希さんに「うちのねこをバティックにしてください」とお願いしたところ、「#ねこと書道、はなこさんのねこをバティックで描くんだったら、やっぱりこれでしょう」。ちょっと意味がわからなかったのだが、そのラフ・スケッチがLINEで送られて来た!

書道半紙の周りにねこがいて、「ねこが書道を邪魔している」絵。2つオプションがあり、左は、篆書の「對酒當歌」(酒に対し、まさに歌うべし」。右は「三日月やふはりと梅にうぐひすが」という一茶の句をもじった「望月やふはりと机に愛猫が(肉球スタンプ)」。
字としての面白さとねこ5匹の一体感から、「左の方で!」とお願いした。それにしても、こんな文字、バティックで出来るのだろうか。
感嘆したのは、ねこたちが愛らしい上に、それぞれの特徴と性格を見事にとらえていることだ。パッと見ただけで、上から時計回りでフレディ、甚五郎、モモ、ホタル、と、すぐに言い当てることができる。ただ、左上の後ろ向きのねこは誰? 純がいないみたい?
そこから、さらに進化したスケッチがこちら。モモとホタルの位置が入れ替わり、純が出来た。

背景は、右はヤシとバナナ、左下はヤシのみ、左上は唐草で描いてみたのですが、どれが良いでしょう??
有希さん
今のアパートの部屋から見えるヤシの木、ジャカルタで最初のアパートの部屋から見えた一面のバナナ畑。両方、大好き! 「ヤシとバナナ」でお願いした。

そこからさらに進化し、書道半紙はなんと、3枚になった。中央の篆書の右に「望月のころ」という句の一部が見え、左には壺井繁治の詩「石」。背景は熱帯のジャングルのようで、いかにも南国ジャカルタらしい。
ねこズは、サイズとか、顔をもっとかわいくとか、何か変更ありますか?
有希さん
私からの変更リクエストは2つ。
まずは、純。
肌触りの良い日本のノートが大好きです。ひとりだけ後ろ向きでちょっとかわいそうなので、頭の下にノートを敷いてあげてもらえますか?
それから、ホタル。
最初の絵の表情の方がいいかなぁ。ポーズは今のままでいいですが。ホタルは「ちょっと険のある美人」という感じなんです。しかし、私を見る目は慈愛に満ちていて……
純とホタル、変えますね
有希さん
次の下絵では、純は前向きに変えられ、大好きなノートに顔を埋め、とても幸せそうだ。ホタルは「慈愛深い表情」の「笑顔」に変わった。


何から何まで最高だ。しかし、これをバティック(蝋描き)したら、一体どうなるだろうか。
と言うのは、「ねことバティック」というウェブサイトなので、「ねこ+バティック」、すなわち「ねこ柄バティック」の話題は積極的に取り上げたい。しかし、その話が異常に少ないのは、「かわいいねこ柄バティック」がないからだ!
例に挙げるのは非常に恐縮なのだが、チレボンのカトゥラ工房で制作したねこ柄バティックはこんな感じだ。「かわいく」はない。「怖い」だろう。

こちら(下)も、上よりはマンガチックとなって「かわいい」とも言えるが、微妙。
チレボン・アリリ工房の「ねこ」(下)はデフォルメ具合がかわいくて好きだ。しかし、私の妹はこれを見て、「なんや、この変なねこは!!」と叫んでいた。
賀集由美子さんでさえ、ねこの表現には苦労したみたいだ(下)。
インドネシアでは非常に身近な存在で、皆に愛されているねこ。しかし、ねこ柄バティックが少ないのは、このように、「かわいく表現する手法が確立されていない」のが理由ではないか。竹田有希さんのバティックはどうなるだろうか。下絵は十分にかわいいのだが、どうバティックで表現するのだろうか。(つづく)
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