竹田有希さんの「ねこと書道」のバティック、早速、蝋描きが始まった。
今日、描き始めたのですが、日本人が見ると、文字が気になるようです。これでいいか、それとも石を猫にするとか……、望月も変えた方がいいですか?
有希さん

中央の篆書も好きだし、左の「石」も格好いい。ただ、右の句(願わくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ)がちょっと気になっていたため、別の歌に変えたかった。
書道で練習した中では、「夏の雨きらりきらりと降りはじむ」という歌が好きだ。雨が光りながら降っている、なんとも美しい情景が浮かぶ。「ジャングル」にした背景にもマッチしている気がする。ただ、「夏」も「雨」も、かなり崩してある字だ。
「これは難しい?」と聞いてみると、「難しいけど、『夏の雨きらり』だけならいけると思います」「やっぱり、好きな文字の方がいいので、確認してよかった」と言ってくれ、変更が決定!
この会話が2024年11月21日で、「完成しました」と連絡が来たのが2025年1月14日。早い!! そして、原物が届いた。素晴らしい!!!!!

水色、青、紺の3色で、なんと、3回も染色してある。蝋描きと蝋伏せを重ね、ずっしりと蝋が付いて重くなった布を、最後に蝋落としして完成だ。
まず最初に、ねこの白い部分や、半紙の白を蝋伏せする。この蝋が最後まで割れないか心配だったと言うが、「蝋落としをしたら、真っ白に出て来て、あ、良かったー!と。白い所がきれいに出来て良かった」と有希さん。
白い紙の上の紺色の字。「バティックで描かれた文字」というのが新鮮だ。かなの柔らかさ、篆書の造形の面白さ、墨をパッパッと散らした「石」の強さと、いろんな書の特徴や魅力がバティックで表現されている。これまで誰もあまりやったことのない新境地に思える。
字は、写真を見ながら有希さんが書いたと言う。「目黒雅堂先生の書道教室には行ったことがあって、ひらがなもちょっと練習した」と有希さん。そのためか、ちゃんと目黒先生の字だし、私の字に見える。

目黒先生に書を習っている友人に見せると、「この書、とても細かくないですか? 神業⁈ 字も華子さんの字っぽいんですね! それをバティックで染めるなんて、二重の芸術」と言って、感動していた。
「墨色」となる紺色は、賀集由美子さんのやっていた方法にならい、「紺」と「黒」の染料を混ぜて作っている。深みのある色で、全体のブルー系の色調は邪魔しない。染料の調合も染色も、有希さんが全て自分一人で行った。

そして何と言っても、ねこの表情や表現が素晴らしい。白い所は白く、黒い所は黒く、正しく模様が入っているのがうれしい。甚五郎(上)の背中にあるミッキーマウスのような模様、子ねこ時代に「小判ちゃん」と呼んでいたホタルの小判のような模様も、ちゃんと再現されている。
ねこの模様は難しい。小さい絵だと、ただの縞々でもいいけど、大きいと、縞々だけでは面白くない
有希さん
模様の部分にイセンを入れて、細かく色を変えてある。伝統文様を用い、バティックっぽくなっているのが面白い。純(下)の足に入れてあるのは、「パラン」のような模様だ。フレディの「真っ黒」に比べて、純の微妙な色の出し方もうまい。

「あとは顔が難しかった」と有希さん。ホタルやモモ(下)のように、白黒を反転させることになる「目」は、蝋落としをするまで、どうなっているのか、出来上がりがわからない。「蝋を少しずつ描き足すので、目が丸くなくなっちゃった」と言うが、ホタルのちょっと険のある表情、モモのいたずらっ子のような表情が、見事に表現されている。

「かわいいねこバティック」を作るポイントは、イセンの入れ方、模様の重視、顔をかわいく、だろうか。
早速、書道をする机の横に貼った。「書道を邪魔するねこ」、全員集合!
フレディ

甚五郎

ホタル

純

モモ

「ねこと書道」
竹田有希作
66cm x 58cm
2025年制作
無料でいただきました(注文制作されているわけではありません。「依頼いただいた時、バティック制作は時間がかかるのでいったんはお断りしたけど、後でアイデアが浮かんだので作りました」と有希さん)
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