【賀集さんのバティック入門講座】(12)バティックの功労者たち③ ハルジョナゴロ、クスマ英子さん

【賀集さんのバティック入門講座】(12)バティックの功労者たち③ ハルジョナゴロ、クスマ英子さん

賀集由美子さんがピックアップした「バティックの功労者たち」の続きです。今回は、ソロのバティック・デザイナーのハルジョナゴロ氏、著名なバティック・コレクターのクスマ英子さんの二人をご紹介します。クスマさんのコレクションの「生命樹柄バティック」について、面白いエピソードを語っています。会場は爆笑でした。(セミナー写真・竹下香奈恵さん、その他の写真と写真説明・池田華子)

K. R. T. ハルジョナゴロ

K.R.T.ハルジョナゴロ(セミナーのスライド写真より)
K.R.T.ハルジョナゴロ(セミナーのスライド写真より)

 これがK.R.T. ハルジョナゴロ(Hardjonagoro、K.R.T.は敬称)という、ソロの方。これも故人ですけど。ゴー・ティック・スワン(Go Tik Swan=中国名)って(写真キャプションに)書いてあるんですけど。伝統柄を主に手がけた方で、チャイニーズですね。結構、スハルト大統領(編注:「スカルノ大統領」の誤り)とかに(気に入られた)。

ジャワ島の田んぼ
ジャワ島の田んぼ

 彼がすごい面白いことを言ってて。ちょっと文献を探して(どこに書いてあるか)見付からなかったんですけど、「バティックは農業だ」って。種をまいて、すごい時間がかかるじゃないですか。これは結構、すごいいい言葉だなって思って、うん。

 一度だけね、工房に行ったことがあるんですけど。すごくいい仕事してます。

編注:賀集さん自身も語っているように、ハルジョナゴロ氏がこう語ったという文献は見付けられない。ただし、「バティックの哲学とは、元々は農民に根差したものであり、それが王宮に持ち込まれて洗練された」「(バティックは)農民から王宮へ、そしてまた農民へ」といった言葉の引用はされている。恐らく、賀集さんはこういった言葉を見て、自分でイメージを膨らませたのではないか。すなわち、「バティックは農業だ」というのは、賀集さん自身の考え・言葉ではないか。ただ、それを自分の言葉として語るのはおこがましいと考えたため、ハルジョナゴロ氏の言葉の引用という形にしたのではないか。別のシチュエーションで、「チャップの注文・制作には長い時間がかかる」という話を私としていた時にも、「種まきと一緒。頼んでおいたら、いつか出来ます」と語っており、賀集さんの中で、「バティック」と「農業」を重ね合わせて見ていた面があると考えられる。
※この件については、バリ島在住の友人にもご意見をいただきました。どうもありがとうございます。

ハルジョナゴロ氏の工房(2023年)
ソロのハルジョナゴロ氏の工房(2023年)
ハルジョナゴロ氏の工房(2023年)
工房で蝋描きをする職人
伝統文様に明るい色合いのバティック(2023年)
伝統文様で明るい色合いのバティック

クスマ英子さん

 あと、これがクスマ英子さん。さっきの果物柄のバティックの元絵となった(コレクションをお持ちだった人です)。(→【賀集さんのバティック入門講座】(10)バティックの功労者たち① カトゥラさん

「桜の国の女性、バティックを愛する」と題した、クスマさんについての「Liputan6」記事。写真の場所はパサールミングのギャラリーと思われる(セミナーのスライド写真より)
「桜の国の女性、バティック愛好者」と題した、クスマさんについての「Liputan6」記事(セミナーのスライド写真より)

 これ、2005年の記事なんで、いつ亡くなられたか、ちょっと私も把握してないんですけども(編注:2011年に逝去)、当時、パサールミングの方にギャラリーをお持ちで、バティックのコレクションをずっとそこにしまってあって。着物のたとう紙に包んで、和箪笥みたいな物に入れて。バティックを見たい、って方には、「どうぞ、ご覧になってください」みたいな、それこそ「お好きだったらどうぞ」みたいな感じで。

 最終的には福岡(市)美術館とかでコレクションを全体的に買い取ろうっていう動きもあったんですけども、それを待たないで亡くなられちゃったらしいんで。(コレクションは)やっぱり散逸しています。(編注:福岡市美術館ブログ「エイコさんのバティック」に、クスマさんの経歴、人柄などが詳しく書かれている。館長・岩永悦子さん記)

 ただ、クスマさんがそのコレクションを展示した展覧会の図録とか、そういうのから、結構いろんな人が、その図録の画像を使って、制作したりとか(しています)。

 あと、これ(音声データから起こしているため、どのバティックを指しているのか不明)に関しては、私の知り合いなんですけども、クスマさんから現物を借りて、カトゥラさんの所にその現物を持って行って、「クスマ英子コレクション」っていう形で(複製している)。クスマさんの了承を得て、ですね。これ(音声データから起こしているため、どのバティックを指しているのか不明)もそうですね、多分。

 あ、これ。生命樹、なんですけど。結構、面白い話があって、仙台の牛タン屋さんのカレンダーに、この画像が使われている。

(えーっ!!)

クスマさんのコレクションからカトゥラさんが複製した生命樹柄バティック
クスマさんのコレクションからカトゥラさんが複製した生命樹柄バティック。スレンダン

 で、その牛タン屋のカレンダーを見て、高橋恵美子さんって手縫いの作家さんがいるんですけども、彼女が、そのカレンダーをカトゥラさんの所へ持って行って。そしたら、その(高橋さんの)息子さんがたまたま、クスマ英子さんの所に通っていたんで……息子さん、胡椒の人なんですよ(編注:「純胡椒」の高橋仙人さん)。カリマンタンで生胡椒作ってる、っていう……なんか、わけわからない話ですみません(笑)。

(爆笑)

カトゥラ工房を訪ねた時に、蝋描きをしていたコショウ柄のバティック。高橋仙人さんが注文されたもの(2019年)
カトゥラ工房を訪ねた時に、ちょうど蝋描きをしていたコショウ柄のバティック。高橋仙人さんが注文されたものだと聞いた(2019年)

 カレンダーがあって、それで、クスマさんの所にバティックがあった、と。それ(バティック)を、ちょっとお借りして、カトゥラさんが描き直して作った、っていうのが、この生命樹。これはスレンダンですけど。

 カトゥラさん、この前、五女の人が結婚したんですけど、その時の、要するに、両親の制服で、これをみんなで着てましたね。すごいすてきだったんですけど。まぁ、その後、売っちゃった、とか、もうわけわからない(笑)。

(笑)

 もうみんな、なんか、わけわかんない。

 クスマさんは検索すると、結構、本とかもいっぱい出てるし、今は中古の本とか売っているサイトもあるみたいなんで。2冊、すごくいい本がありますので。欲しい方とかいたら、そういう所を検索したら、あるんじゃないかな。

クスマ英子さんのイカット・コレクションの写真集
クスマ英子さんのイカットなどの染織コレクションの写真集
賀集さんの所蔵本。クスマさんのサイン入り
賀集さんの所蔵本。クスマさんのサイン入り

賀集さんのバティック入門講座カテゴリの最新記事