[バティックを使う]服に仕立てる(2)西川さんの場合

[バティックを使う]服に仕立てる(2)西川さんの場合

 「ベティーさんオーダー会」で、西川知子さんはバティック2枚をオーダーした。

 伝統的な花鳥模様で茶色と紺のバティックは「コロナ禍中にバティックを買いまくっていた中の一枚」。インドネシア・バティック協会のインスタグラム・ライブで購入した。ライブでの即売なので、欲しい物はすぐに買わないとなくなってしまう。瞬間的に気に入ったら、ライブ画面をスクショして担当者へ送り、購入する。そうやって買ったので、「どこのバティックだったか記憶にない。何も覚えてない」とのこと。

 購入してから、そのまま畳んで置いてあったのだが、改めて布を開いてみて、「あ、このトゥンパル(布の端にある鋸歯状の模様)、かわいい」と思ったそう。

インスタグラム・ライブで購入したバティック
西川知子さん撮影

 西川さんはガムランのグループ「スルヨララス・ジュパン」のメンバーで、練習の時にはいつも、スカート風に仕立てた腰巻き(サロン)を身に着けている。「サロンは何枚あってもいい」ため、これもサロンに仕立てることにした。

 腰に巻く布は、縫ってしまうと、腰に巻いて折り返す部分が要らなくなる。余る「トゥンパル」部分を使って、サロンに合わせたトップスを作ることにした。一枚で二枚おいしい、というやり方だ。

 オーダーするもう一枚は、インドラマユにあるエディさんのバティック工房で購入した縦横ストライプのバティック。ものすごくモダンな柄で、エディさんも「これは、ジャカルタの人しか買わない(インドラマユ近郊の人たちは買わない)」と話していた。

エディさん工房のストライプ柄バティック
西川知子さん撮影

 エディさんはなかなか冒険心が強く、ユニークな作品が多い。ストライプ模様も好きなようだ。それが北欧っぽい作品に仕上がることもあるが、これはちょっとモダンが行きすぎた感もある。斬新で格好いいのだが、ちょっと使いにくい。

 これはどうする? 西川さんの最初の希望は「クバヤ」。腰に巻いたバティックに合わせて着る、伝統的な女性の上着「クバヤ」は、縦ストライプ柄がよくあるそうだ。しかし、バティックではない普通の生地を使うことが多いので、「バティックでストライプ柄があれば、欲しかった」。ちょうどエディさん工房にストライプがあったので購入した。しかし、縦横ストライプが交互に入っている柄。

 ベティーさんが悩んでいたところ、西川さんがふと、上が横ストライプ、下は縦ストライプでつなぎ合わせた自分のワンピースを指して、「これはずっと前に、ベティーさんに仕立ててもらったワンピース。これと同じ物も作ってほしいな、と思って、着てきました」。「ええっ、じゃあ……」とベティーさん。そこで、今回はクバヤはやめて、ワンピースにすることにした。

 縦横ストライプの中でアクセントとなっているのは、マンゴーと舵が入った部分だ。この部分をトップスに使うと、ちょっとうるさい。やはり下のスカート部分に使い、それも正面ではなくてサイドに入れる形にした。

 西川さんのバティック・コレクションは質量ともにすごいのだが、「これは服にする」と、買う時に決めているわけではないそう。「はさみを入れるかどうかは、値段で決める。200万ルピア以下なら、はさみを入れる」と、わかりやすい。高いバティックに比べると、安いバティックの方がどうしても「布として愛でる」要素は減るので、服にして使うのだと言う。(つづく

知子さんのバティックコレクション
バティック・コレクションの中から、アンティーク・バティックも含めて、たくさん持って来たが、このうちの2枚をオーダーすることに

インスタ・ライブで購入したバティック
生産地不明
120万ルピアぐらい

ストライプのコンビネーション
バティック・ビンタン・アルット作

2022年購入
15万ルピアぐらい

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