机の上に並んだ巻物は、天地8.5センチ、厚さ3.5センチぐらいの仕上がり。手のひらにすっぽり収まるぐらいのサイズ感。紙の厚みによって、巻物の太さはいろいろだ。
豆本と言っても、オーダー主である父の好きそうな少し大きめサイズなので、豆本が初めての人でも、小さすぎて触るのが怖い、とひるむことは少ないと思う。
赤井都
一つずつ全部違う模様、まちまちの太さ、軸にちらっと光る金色、波打つタイトルタグ。全てが「One and Only」だ。バティックが「One and Only」であることを裏書きし、強調しているようなデザインだと思う。
妹にとって初めての素材となったバティック。使ってみてどうだったか、聞いてみた。
バティック、かっこいい。部分で見て面白い。
豆本教室に来た人が早速見ているうちに「電車の模様に見えて来た!」と。
賀集由美子さんの親友だったアアットさんの手描きバティック「難破船」に包まれた、「チレボン銀河鉄道」の物語。不思議な黒白模様が物語に寄り添って流れて行く。
黒白は、星の輝く夜空なのかもしれない。「この世」と「あの世」なのかも。白く輝く天の川と、その縁を走る黒い電車なのかも。
コロナ禍でインドネシア国鉄(KAI)の運行が止まった時、賀集さんはKAIの”Until We Meet Again”(また会う日まで)というメッセージを題材にした絵を描いた。ジャカルタや日本へ行く時に数え切れないほど利用した鉄道の列車には一際愛着があったのだろう。愛する鉄道の列車に乗って、賀集さんが楽しく出発して行ったと信じたい。
バティック豆本の第一号、「チレボン銀河鉄道の夜」。賀集さん、出来ましたよ!(つづく)