「チレボン・バティック・ツアー」の準備でアリリ工房へ行った時、「今回、バティックは買わない」と決めていたのだが、面白い布きれを見付けて即買い。「スレンダン」(肩掛け布)だと言うのだが、通常のスレンダンよりも小さく、日本の手ぬぐいぐらいの大きさ。ブタウィの人たちが民族衣装で首に掛けるような布だと言う。
特徴は、布の中央が斜めに波形で区切られ、色と模様が変えてあること。それも、カーキと青、朱色がかったピンクと赤という、なかなかにエキセントリックながらも、かわいい色合い。
ワワンさんいわく、これは「パギ・ソレ 」(pagi sore)。カイン・パンジャンの模様を横で二分割し、腰に巻く向きを変えることで、朝(パギ)と夕方(ソレ)とで違う模様が出るようにしたのが「パギ・ソレ」。一枚で二度おいしい、このバティックの様式を使った、ということで、なるほど。
「若者にウケるようなバティックを」と考えて作ったと言う実験的な作品。色合いはポップに、細かいイセン(点・線描き)による装飾は敢えて行わず、輪郭線のみでシンプルに。しかし、若者向けというより、子供向けのようなかわいらしさ。
描かれたモチーフは、ワワンさんの好きな物を集めたそうだ。「カーキと青」の方には、ねこ、コーヒー、帽子、サンダル、渦巻きキャンディー、綿あめなどに、端にはソフトクリームが並ぶ。「ピンクと赤」の方は、同じくねこ、そして、ひよこ、車、自転車、ベスパなど。端には大小の風船が浮かんでいる。ワワンさんの「My Favorite Things」が、ほっと脱力させ、にやっとさせる。
「サンダルも好きなの?」
「サンダルはリラックスできるから」
ソフトクリームは「(インドネシアで大流行の)『Mixue』?」と聞いてみたら、「違うよ。今はどこへ行っても『Mixue』だけど、マクドナルドにもソフトクリームはあるし、昔ながらのソフトクリーム屋さんもあるし」。要は、ワワンさんはソフトクリームが好き。
用途としては、テーブルセンターはどうだろうか。パギ・ソレを活かし、真ん中で畳んで半分にし、時々ひっくり返して気分を変えてもいい。端のイセンがやたら細かかったり、土から草が生えていたり、眺めていると面白く、楽しいバティック。(追記:首に掛けてみると、左右の色が違って、なかなか面白いことがわかった)
「ワワンさんの好きな物」
バティック・アリリ作
30cm x 40cm
2023年3月購入
20万ルピア(値段は購入当時)