【ジャカルタねこ物語】モモ③ 外は雨

【ジャカルタねこ物語】モモ③ 外は雨
雨が来る

 強い風が吹いて、葉っぱがざわざわ言う。雨が来る、っていうしるしだ。雨が降ってきた。バラバラ、雨の当たる音がする。雨が激しく降り始める。だけど僕は、のうのうと寝ている。ここは雨にも濡れないし、風も当たらない。僕は寝たまま、耳だけ立てて、雨の音を聞いている。

 僕は「モモ」って呼ばれている。連れて来られたこの場所にも、ここにいるねこたちにも、ここの人間にも慣れた。ちょっとずつ調べて「ここに危険はない」ってわかったから、あちこち探検している。高い段々は一段ずつ上がって、てっぺんに到達。ねこや人間がごろごろ寝ている寝床にも、よじ登って到達。人間が物を食べている場所にも飛び乗れるようになった。

 お気に入りの場所は、外が見える台の上か、その横に置いてあるかごの中。ひなたぼっこをして、外を眺める。段々の上の方や、寝床の毛布の上、 床に置いてある箱の上とか、ほかのねこたちが気持ち良さそうに寝ている場所も、次々にまねして試している。遊ぶ物もいっぱいあって、楽しくて仕方がない。

 お腹が空いて怖かった時のことは、だんだん、うっすらとなっていっている。だけど、ごはんをもらう時だけ、カチッと何かのスイッチが入る。頭が真っ白になって、夢中で食べ、夢中でねだる。食べても食べても、もっと欲しい。でも、前は、しょっちゅうごはんをねだっていたけど、今はそんなにしょっちゅうじゃなくなった。食べ物も水もいつでも置いてあるし、お腹が空いているわけじゃないんだ。

 うとうと昼寝していると、近付いて来た人間になでられることがある。僕は目を開ける。全身からブザーを鳴らしているみたいな音があふれ出す。うれしい、満足、幸せ。その気持ちが大きい音になって流れ出す。

 僕はいつも上機嫌だ。いつだって楽しいし、遊びたいから、人間の手や足にじゃれついて、歯を立ててケリケリする。噛むのはコミュニケーション。お母さんにも、こうやってた。お母さんは一緒に遊んでくれた。だけど人間は、なんか、大騒ぎしている。痛いと騒いでいるみたいなんだけど、なんで人間には、ねこみたいにみっしり毛がないんだろうか。不便だと思う。

 体に力が満ち、僕は大きくなってきた。もっと大きくなるよ。ごはんを食べることも、遊ぶことも、トイレも、毛づくろいも、寝ることも、全部楽しい。僕は目を閉じ、安心して眠りながら、雨の音を聞いている。

窓辺の3匹(甚五郎、純、モモ)
晴れ上がった夕方、窓辺の3匹(左から甚五郎、純、モモ)

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